平衡点
2021/02/24
_ Debian bullseyeの初期状態での日本語入力
とあるもくもく会で確認したお話. 結論が出ていないのでMLに投げる前の推敲を兼ねたアウトプット.
TL;DR
Debian bullseyeの初期状態, つまり
- インストーラにおいて「Graphical Install」を選び,
- 言語として「日本語」を選んでインストール
した状態では 日本語入力 ができません.
どうにかしたいのだけど良い解決策が思いつきません, というお話.
発端
gnome-shell
の依存関係において,
Recommends に ibus
が追加されました.
この変更で fcitx が使えなくなった方が「Revert して欲しい」と レポート書いた訳ですが「それは im-config の仕事だよね」と 返されています.
im-config
側には特にまだレポートはありません.
なお, im-config
の現在の実装では /usr/bin/ibus-daemon
が
存在する場合には他の input method を起動しません.
無理矢理ibus以外の input methodを起動する際には
/etc/default/im-config
の
# Default im-config mode (see im-config(8))
(中略)
# List of desktop systems which starts ibus if available
# Applicable desktops are excluded for applying IM_CONFIG_PREFERRED_RULE
DESKTOP_SETUP_IBUS="GNOME"
(後略)
を書き替えるのが良いでしょう:
# Default im-config mode (see im-config(8))
(中略)
# List of desktop systems which starts ibus if available
# Applicable desktops are excluded for applying IM_CONFIG_PREFERRED_RULE
DESKTOP_SETUP_IBUS=""
(後略)
こんな風に.
じゃあ, 現状どうなっているのさ, というと…?
Debian bullseyeの初期状態でログインした状況では
ibus
はインストールされている- 他のかな漢字変換(
ibus-anthy, ibus-kkc, ibus-mozc
など) はインストールされていない.
という塩梅. つまりは, かな漢字変換による日本語入力は全くできません.
現状の task-japanese-desktop
, task-japanese-gnome-desktop
によって導入されるinput method は uim(+uim-anthy, uim-mozc) です.
これまでは ibus
が導入されていなかったので,
uim
が起動し, 日本語入力が可能ではありました(gnome-shell
とのUIの親和性がイマイチ, という意見はともかくとして)
しかしながら, bullseye 以降では(既に述べた様に)
gnome-shell
の Recommends で ibus
が
導入されるため, im-config
は uim
を起動しません.
「じゃあ
task-japanese-gnome-desktop
で,
ibus-anthy,ibus-mozc
なんかを Recommends
に入れておけば良いんじゃない?」という意見はごもっともで,
これで解決してくれたら良かったんですが….
初期状態では設定まではしてくれない んですよね.
なので
右上の「設定」→「地域と言語」から
「日本語(Mozc)」を追加する, といった作業が必要になります.
とはいえ,
追加でパッケージ入れる必要が無い, という点で
task-japanese-gnome-desktop
の Recommends
に ibus-mozc|ibus-anthy
を追加, は規定路線でしょうか….
あ, mozc
は対応アーキテクチャが少ないので
ibus-mozc|ibus-anthy
としておいてます.
インストールしただけで初期設定済にしたいんだけど…
正直途方に暮れます.
- GNOME には
gnome-initial-setup
があるので, これも入れておけば, ユーザの初回ログイン時に input method を選択できます…. ただ, 選択肢が非常にイケてないです.この
kkc
の選択肢は(インストールされていない)ibus-kkc
のことであり,gnome-inital-setup
にハードコードされています. よって, ここでkkc
を選択してもibus-kkc
は使えません. そもそも日本語(PC-98)がなんで最上位にいるんでしょうか…って, これは xkb を元にしたアルファベット順と聞いています(ホント?). イケてないねぇ….ちなみに
ibus-kkc
をインストールすると,となります. これで「日本語(かな漢字)」を選択すると,
ibus-kkc
による日本語変換が可能になります. なお upstreamではibus-kkcではなくibus-anthyをデフォルトにするように変更されたそうです. …うーん🤔「
kkc
じゃなくてmozc
が良いんだよ…」という場合には, 下の検索欄に適当に変換エンジンを入力することになります. gnome-initial-setup
は嫌な場合初回ログイン時に
dconf write /org/gnome/desktop/input-sources/sources "[('ibus','mozc-jp')]"
という呪文を唱えるようなスクリプトを
/etc/xdg/autostart/
あたりに 放り込んでおけば良いと思うわけですが, これはどのパッケージの担当なんでしょう…. あと, mozc 決め打ち だったり, 日本語環境固有 だったりで, ちょっとなぁ….- 「
uim
を使いたいんじゃ! 」という場合im-config
に手を入れられればあるいは…かなぁ.
まとまらない.
better than nothing は案1で,
ユーザーには gnome-initial-setup
を堪能してもらう,
という流れになるのでしょうか… 凄く嫌ですが.
…他に良い案ないですかね.
Q/A: 想定問答集
- 「uim → ibus にしたら?」 → そもそも ibus での漢字変換が初期状態で選べねぇって話だよ
- 「Ubuntu みたいに…」 →Debianには日本語Remixはございません. あと, Ubuntu側は gnome-settings-daemon に パッチ当てて改善してますね: #1719938: 17.10: No input method for CJK languages 今からこれを解析して gnome-initial-setup にパッチ当てて, bullseyeに突っ込むのは無理だと思います.
…他, 思いついたら.